Good day ! 3
「先生、あと一つお聞きしたい事がありまして」

大和がまた口を開く。

「はい、何ですか?」
「実は6月6日に結婚式を挙げる予定です。自宅から車で20分程のホテルで、身内だけで挙式と食事会をしたいと考えています」
「6月6日というと、えーっと、妊娠5ヶ月に入る前日ですね。うん、このまま体調が順調なら大丈夫ですよ。ちなみに、ゴンドラで2階から下りてくるとか、花嫁を胴上げするなんて演出はしないですよね?」
「し、し、しませんとも!」
「うふふ、それなら良かった。ゴンドラなんて、もう今はやらないのかー。あ、でも高いヒールの靴は避けてくださいね。お腹の重さでバランスを崩しやすいし、階段で足を踏み外したら大変なので。ご主人、しっかり奥様に寄り添っていてくださいね」
「それはもちろん!必ず妻を守ります」
「あらあら、ご馳走様です」

では次は2週間後に。今、予約票を印刷しますねーと言う先生に、でも良かった、と恵真は笑顔で大和を見る。

「前のクリニックの先生もとても優しい先生で、お別れする時寂しかったけど、木村先生もとても素敵な先生でホッとしました」
「そうだな。安心してお願い出来るな」

すると先生が予約票を渡しながら聞いてくる。

「前の先生って、マリア・ハート クリニックの院長のこと?」
「ええ、そうです。萩原先生とおっしゃる方で」
「ああ。あれ、妹なの」

ええー?!と、恵真は大和と二人で驚く。

「そうなんですか?でも言われてみれば、似てらっしゃいます」
「そう?ま、あちらは私と違って、優しい旦那と幸せにやってるけどね。クリニックの隣に同じような小児科があったでしょ?サン・ハート クリニックっていう」
「ええ、ありました」
「そこの院長が妹の旦那なの」

へえー!と、これまた二人で驚く。

「じゃあ、赤ちゃんが無事に産まれたら、小児科はそちらでお世話になります」
「あら、いいのよ。お気遣いなく。でも妹に赤ちゃんを見せてあげてもらえるかしら?きっともの凄く喜ぶと思うわ」
「はい。私も萩原先生にお礼のご挨拶に伺いたいので」
「ふふふ、楽しみね。よし!それなら無事に赤ちゃん産まないとね。一緒に頑張りましょうね!」
「はい!」

恵真はパワーをもらったかのように、力強く頷いた。
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