Good day ! 3
第八章 穏やかな日々
戌の日の安産祈願も済ませ、7月5日に無事に妊娠6ヶ月目に入った。

経過も順調で、恵真は無理なく楽しく仕事を続けており、心身ともに充実した日々を送っていた。

「おっ、恵真!」
「伊沢くん」

その日の勤務を終えて帰ろうとした時、オフィスで久しぶりに伊沢と会った。

伊沢は恵真のお腹に目を向ける。

「おおー、だいぶ大きくなってきたな」
「うん。さすがに重くなってきたの」
「双子だもんな。体調は平気なのか?」
「お陰様で今のところ順調よ。あ、そうだ。伊沢くんに渡したいものがあるんだ」
「へえ、何?あ、立ち話もなんだから、座るか」

そう言って、すぐ近くのラウンジのベンチに座る。

恵真はバッグの中の書類ケースから封筒を一枚取り出すと、伊沢に渡した。

「何?これ」
「開けてみてくれる?」

伊沢は見当がつかない様子で、首をかしげながら封筒を開けた。

「ん?カード?」

そう言いながら二つ折りのカードを開く。

「うわー!これ、あの時の?凄い!」

驚いて食い入るように見ているのは、恵真と大和の結婚式の日、飛行機の前で撮った集合写真だった。

恵真はその写真データをプリントし、きれいなフォトフレームカードに入れて、お礼の言葉を添えていた。

「迫力あるなー。それに佐倉さんも恵真も、すんごくキマってる。いい写真だなー。こずえにも見せるよ」
「ありがとう!」

ふふっと恵真は思わず微笑む。
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