例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても






「さっきまで駿がいたのよ。」

沙苗が、真っ暗になった窓の外に目をやりながら、言う。

「沙耶が来るって言ってたから、って、待ってたみたいだったけど。沙耶は私が眠ってる間に、来てくれてたのよね?」

新しくなっていた洗濯物に気付いた沙苗は、駿に、『お姉ちゃんはとっくにきてたみたいよ』と伝えたらしい。

「折角来てくれたなら、起こしてくれたら良かったのに。」

面会時刻は後僅か。
梟王に行く前に寄ったのだから、本当はわざわざ来なくても良かったのだが。

「………なにかあった?」

帰り道、何故か沙耶の足は家に向かず、気付けば母の入院している病院の前に来ていた。



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