海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
俺とアオは師匠に言われた通り、直ぐその場から離れ住処に戻うとした瞬間。

ゴォォォ!!

「なっ!?」
「ちっ…」

見覚えがある炎が俺とアオの前に立ち塞がり、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「行かせるかよ」
「エンヴィー…」
「お前達がやろうとする事は、ラキエルの奴から聞いてる」
「なら、そこを退け」
「退くかよ…ポセイドンの奴もそうだが、俺はまだ…お前を許しちゃいない」
「……」
「アイツを倒す前に、先にお前倒す!」

エンヴィーは武器召喚魔法で大斧を召喚した。

「…安心しろ、お前の番には手をださねぇ…」
「……分かった」

俺は師匠に指示し、師匠はアオと共にその場を離れた。

「これで互いに何も気にせずに闘える」
「エンヴィー…」

俺は拳に籠手を召喚し構えた。

「はぁぁぁ!!」
「……」

エンヴィーは迷いなく素早く間合いに入り、斧を下から喉元を狙う様に攻撃してきた。

キィィン!!

籠手に防御を張り、上手く受け流しながらエンヴィーの攻撃をかわした。
互いに隙を与えることもなく、攻撃を当てていくものの互角な状態だ。
斧と籠手が激しくぶつかり合い、火花が散るほどの勢いだ。

「どうしたんだよ!!やり返せよ!!」
「……」

しかし、俺は何故かエンヴィーに攻撃するのが正しいのかと思い始めた。
エンヴィーは俺に対して一切魔法を使ってきてない…。
魔法を使えば普通に勝てる力があるのに使わないのはおかしい。
頭で考えてるその時だった。

ガッ!!

「っ!?」

エンヴィーに隙をつかれ首を掴まれた。

「ぐっ…」
「何故本気を出さねぇんだよ…」
「……」
「言えよ!!」

ドォォォン!

エンヴィーは俺の首を掴んだ状態で勢いよく地面に叩きつけた。

「……」
「舐めてんのかよ……あの時みたいに…俺の一族を裏切った時のようによぉ!」

エンヴィーの怒りの拳が何回も俺の顔に入る。
しかし、その拳に何故か殺意が感じられない。
やけくそになったのか、エンヴィーは俺の首元を掴み激しく揺らす

「何か言えよ…俺はこの130年の間、どれだけ世界を…お前の一族を恨んでる思っている!!」

エンヴィーが怒るのも仕方ない…ラブカ族とシーラカンス族は有事の際の為に同盟を結んでいた…。
だが、俺の父親が一族を守る為に、ラブカ族を裏切った。

「お前が怒り狂うのも無理もないし…謝って済むとは思ってもいない…お前が俺の命で気が済むなら俺はとことん付き合う」

頭から血が流れ意識が朦朧としても、微かにエンヴィーを見つめた。

「……っ!?」

幼なじみでいつも傍に居てくれた。
あの日の夜、俺が父上を倒してエンヴィーを助けに行けばこのような事にはならなかったのだろうか?
お互いに幼く無力さから友人を一族を助けれなかった事への怒り…そして泣き崩れた筈だ。
色々考えてもキリがなく…なら俺はエンヴィーが気が済むまで抵抗はしない…。
エンヴィーの拳は顔に入るもの、それは次第に弱くなっていく。
そんなエンヴィーを見た俺はとある事に気付く。

「何でだよ!!何でそんな目で見る…何で抵抗しねぇんだよ…抵抗してくれよ…お前を殺すって決めてたはずなのに…どうしてやれねぇんだよ…」
「はは…そ…んな…泣き面をしていて…友人を殺す…事なんで出来ないのはお前が1番分かるだろ?」
「……っ…馬鹿野郎」

エンヴィーは俺の首元から手を離し、地面を勢いよく殴り泣き叫んだ。

「分かってた…心の隅でお前を恨んでも意味が無いって…でも、俺の復讐心はどこにぶつければいいのか…いくらポセイドンが原因だとしても…俺一人じゃ太刀打ち出来ない…」

エンヴィーのそれは誰も言い表せないような感情に飲まれて苦しんでる様だ。
俺は意識を朦朧しながらも、ゆっくりと復讐心に苦しんでいるエンヴィーに近づいた。

「っ…もう…戻ってこい…お前の苦しみも怒りも俺が受け止めてやる…だから、また…友人として隣に居てくれ」
「セラ…」
「また、ふざけた事して…怒られて…笑い合おう」

俺はエンヴィーの隣に腰をついたら、互いに幼い子どものようにボロボロに泣きながらも、肩を抱えた。

2人の様子をリヴィアタンとアオは離れた場所でみていた。

「お父さん…あの2人に何があったの?」
「アイツらは幼なじみでな…一族同士同盟を組むほどの仲だったが…ポセイドンの術士討伐の際に、エンヴィーの一族もセラの一族と同盟してる事で、巻き込まれてしまった…」
「……」
「アオが気にする必要はない、どうやらアイツらは自分達でなんとかしたみたいだからな」

アオはセラとエンヴィーの姿をみて拳を強く握りしめた。

「父さん…」
「……」
「やはり、セラが私の番で良かったよ…セラはやはり凄いや!私も何か皆のために出来ないとね」

アオはリヴィアのにそう言って、セラの元へと走っていった。

「見ないうちにアオは、ホタル…お前みたいに何がなんでもやる精神がついたみたいだ。」
『だって、私とリヴィアタンの子だもの』
「そうだな」
『リヴィアタン』
「なんだ?」
『私の事はアオに黙ってくれてありがとう』
「…よかったのか?話さなくて」
『今、私の事話せば…あの子絶対に私の事も考える。それに、あの子がちゃんと優しい大人になって、素敵な人や友達が出来ているのを知ればそれでいい』
「…そうだな。ホタル」
『それに、この事は貴方がやるって言ったんだから』
「あぁ…。俺はお前を絶対に助ける。待っててくれ」

リヴィアタンは強く拳を握りしめ、直ぐにリゲリィアの元に向かった。
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