桜散る日に
私はこの日いつもより時間をかけて化粧をしました。自分が自分じゃなく見えるほど厚化粧をして髪もボサボサにしてあなたに会いに行きました。

「祐司さん!!」

私はベンチに座るあなたの姿を見つけると大声で名前を呼びました。みんなの目が私を見て笑っているのが分かりました。

「…美香ちゃん?」

「そうですよ。」

「…ぷっ。美香ちゃん変わったね。誰かと思ったよ。」

あなたはお腹を押さえてまで笑っていましたね。私は恥ずかしくてたまらなかったのを覚えています。

「笑わないでくださいよ。祐司さんがこんな格好してこいって言ったんですよ。」

「ごめんごめん。ついおかしくって。」

「それにしても私の顔そんなにおかしいですか?みんながさっきから変な目で見てくるんですよ。恥ずかしいです。」

「…まぁ気にしないでデートしよう。」

「デート?」

「どうしたの?」

「…いや、なんでもないです。」

あなたがデートって言ったときは嬉しくて泣きそうでした。


あなたとの初デートはただ歩きながら話す、ごく普通のデートでした。でも私にはそれが1番幸せな時間に感じました。いつも鬱陶しく感じていた鳥の鳴き声も車の騒音も髪を乱す風でさえも心地よく感じさせました。


あなたと出逢って幸せの意味を知りました。

あなたに出逢えたことをただの偶然にはしたくはありません。これは…

神様が与えてくれたプレゼントなのです。

あなたに出逢えたことは神様によって操られた運命なのです。
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