怪盗ベルにおまかせ!
これ以上見られ続けたら…間が持てない。


――そのとき。


「ごめん、やっぱりなんでもないやっ」


そう言って、光井くんはわたしから顔を離した。


「日暮さんは両膝をケガしてたんだから、あんなことできるわけないだろうし…」


ひとり言のように小さな声でつぶやく光井くん。


な…なんとか、バレてはなさそう…?


光井くんに見つめられたとき、寿命が縮まる思いだった。


「…そうだっ。俺になにか用だっけ?」

「あ…、うん。用ってほどじゃないんだけど、わたし…重かったでしょ?」

「重いって?」


首をかしげる光井くん。


「その…、お姫様抱っこのとき。だから、光井くんに悪いことしたなって」

「ううん、そんなことない。むしろ軽いくらい。ちゃんとメシ食ってる?」

「食べてるよ!昨日だって、トンカツを2枚と――」
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