怪盗ベルにおまかせ!
「おはよう、鈴ちゃん!ちょっといっしょにトイレについてきてくれる!?」


まるで話を遮るように、慌てた様子の芹那ちゃんが現れた。


「あ…、うん。行こっか」


わたしは芹那ちゃんと教室を出た。

でも芹那ちゃんがわたしを連れてきたのはトイレではなく、人気のない廊下の隅。


「芹那ちゃん、こんなところにきてどうしたの?」

「その様子だと、鈴ちゃんまだ知らないみたいだね」

「…知らないって?」


わたしが首をかしげていると、芹那ちゃんはワンピースのポケットから自分のスマホを取り出した。


「昨日、動画配信サイトにアップされてたんだ」


芹那ちゃんのスマホを借りて、そこに映し出されたある動画を見る。

それを見て、わたしは開いた口がふさがらなかった。


動画のタイトルは、『怪盗ベルを見つけたから追っかけてみた』というもの。
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