怪盗ベルにおまかせ！

「それはないよ〜、ダンダン！」

「ダンダンの配信動画って、いつも的確なとこ突いてくるからおもしろいけど、ベルに関してのその推理はハズレなんじゃない？」


…よかった。

周りが光井くんの話を信じなくて。


わたしは、ほっと胸をなで下ろす。

近くにいた芹那ちゃんと目が合って、芹那ちゃんも同じような表情をしていた。


「でもさ〜、ベルって正体がわからないからかっこいいんだよね〜」

「わかるー！だれかは気になるけど、正体あばかれちゃったらちょっと冷めるよね」

「うんうん！ダンダンの動画は好きだけど、ベルを追うのはやめたら？ベルはあたしたちの憧れだしさ」


光井くんの周りで、そう口々に話すクラスメイトたち。

すると、光井くんは眉間にシワを寄せ表情が一変する。


「“かっこいい”？“憧れ”？…みんな、ベルに洗脳されすぎだよ」