怪盗ベルにおまかせ!
と思っていたけど、たしかに芹那ちゃんの言うとおり…なにかが足りないような気がする。


さっきまであって、今はないもの――。


わたしたちははっとして、同時に顔を見合わせる。


「「…トロフィーがないっ!」」


そう。

違和感の原因は、校長先生のすぐそばに置いてあったはずのトロフィーがなくなっていることだった。


開会式のあと、校長先生はトロフィーを抱えたまま本部のテントのイスに座った。

そして、よく見えるようにして机の上にトロフィーを置いていた。


さっきの競技中に何気なく本部のテントに目をやったときは…たしかにそこにあった。

でも、今はない。


「校長先生が金庫に戻しちゃったのかな…?」


腕を組んで考え込む芹那ちゃん。


「そんなはずないよ…!だって、運動会のときは毎年あそこにトロフィーが置いてあるはずだし…」
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