小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「はい。弘樹先生と同居させて頂く前は高校二年生からずっとひとりでした」

 院長先生は顔を押さえてうめいた。

「……申し訳ない。そんなこととは何も知らず、あなたを追い詰めるようなことを言ってしまった。本当にすまなかった。ストーカーの話もおひとりだった美鈴さんはさぞ怖かったでしょう。あなたを弘樹が助けたとは……不思議な縁です。仁史君が空から運んできた運命かもしれないな」

「弘樹先生には話す必要があると思ったときにいつか言います。黙っていてもらえますか?」

「わかりました。訪問図書のほうは話を進めさせてもらいます。よろしくお願いします」

「こちらこそ。ここのプレイルームは昔の住田小児医院の名残がありますね。私は懐かしく思い出しました」

 院長先生は私を優しい目で見て話してくれた。

「気づいて下さったんですね。その通りです。当時作ったときは臨床心理士と相談して内装やデザインを考えた最先端のものだったんです。私は気に入っていたし、他の小児科病院より優れていると思っていたので、また取り入れました。そう言って頂けるのは何より嬉しいです。ありがとう」
< 174 / 226 >

この作品をシェア

pagetop