小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「ああ」

 その日の夜。先生は夜勤だった。私はちょっと拍子抜け。でも、先生とどうやって向き合おうと少し悩んでいた。私のために内緒で父と会ってくれた弘樹さんにどうやって私の感謝を伝えたらいいんだろうと思った。

 明日は私が宝田小児医療病院へ久しぶりに病院訪問へ行く日だ。先生は夜勤明けだから入れ違いで帰ってくる。彼に会えるのは早くても明日の夜になりそうだ。

 彼のために何かしたくなり、いても立ってもいられず、夜から急にたくさん料理を作り、冷蔵庫へ入れた。明日、起きたときに食べられるように……。するとメールの着信音がした。

 見ると弘樹さんだ。

『来週の美鈴の誕生日は前から休みを入れている。美鈴は休館日だから休みだよな。一応確認』

 嬉しい。私達は偶然にも同じ五月生まれ。私は十日、彼は二十一日。

 そうか、一緒にお祝いしたらどうだろう?おやすみが重なるなんてあまりないし、私は文恵さんが辞めたばかりということもあり、特に病院訪問の曜日は子供達が楽しみにしているので絶対に休めない。

 ふたりがおやすみの重なるときが一番いいかもしれない。

『二人一緒に休めるなら、少し早いけど弘樹さんの誕生日も一緒にお祝いしたいです。私、おやすみしばらく自由に取れないです。訪問の曜日は無理なので……』
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