小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「……そうですか」

 「隆君に会わせてあげて、その後のことは考えればいいのではないかと伝えたらうなずいていたよ。子供が懐いていてしかも病気で気が弱くなっているんであれば母親に会いたいのは当然だ。あちらも会いたいと思っているなら会わせてやった方がいいだろう。少しでも隆君が元気になれればこしたことはない」

 「美鈴のことは……」

 「まだわからん。口ではもう追いかけないと言っている。少し警察の話もしたし、わかっていれば普通はもう何もしないと思うんだがな」

 「わかりました。美鈴は守ります」

 「さすがに親御さんも説得するだろう。平田さんは帰ったのかね?」

 「はい」

 「そうか。次は佳奈美だな」

 院長が眉間を押さえている。

 「申し訳ございません」

 「全くだ。いや、冗談だよ。その時はよろしく頼むよ。私からも佳奈美には少し話しておく」

 「はい。いつでもお声がけ下さい。ご迷惑おかけしてすみませんでした。今日はありがとうございました」

 深々と頭を下げると院長は俺の背中を叩いていなくなった。
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