会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。

祝宴

 クレイグ様は、バートと彼の愛する人を許さなかった。

 クレイグ様に首根っこをつまみあげられ、容易にぶん投げられおもいっきり床に落ちて気を失ったバートは、すでに拘束されている。

「おれがだれだかわかるか?」

 居間ではなく、前庭の地面に跪かされているバートと彼の愛する人の前に立ち、クレイグ様は語気鋭く尋ねた。

 彼は背が高く、筋肉質でがっしりしている。顔はごつくいつも険しい表情をしているけれど、じつは笑うとえくぼが出来てめちゃくちゃ可愛くなる。

 もちろんいまは、険しい表情を保っているけれど。
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