会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
 これまでのたらいまわし生活では、一度たりとも力を使おうなどとは思わなかった。それどころか、ひた隠しにしてきた。その力を、ここに来てすごすうちに使ってみたくなった。というよりか、領地内の人たちが等しく平和でせめて一日の糧に困らない生活をしてもらいたい。つねにそのように願っている。そう願っている内に、自然と力を使っていた。癒しと加護の力を発動させていたのである。

 以降、疫病や天候不順や水不足などはいっさい起ってはいない。

 が、自分ではカニンガム公爵家の領地内、もしかするとその周囲の領地に影響が及んでいると思っていた。
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