女風に行ったら、モテ期がきた

告白

「うちのそばに、なんかおしゃれなとこがあるんです。ずっと気になってたんですけど、ひとりじゃ入りづらくて、、そこに行ってみていいですか?」

「そう言えば、暑気払いの時の店もおしゃれな感じでしたよね?もしかして、あそこも高城君が?」

「、、はい。行ってみたくて行けない店のひとつを潰させてもらいました」

一緒に生活を始めてから、高城君の印象はがらっと変わっていた。

寡黙で男らしいと思っていた彼は、実はシンプルで洗練されたものを好み、いい意味で繊細さを持ち合わせている。そしてそれを少し恥じているのか、たまに見せる照れた表情は、何気にかわいい。

そこはスペイン料理の店だった。合鴨のカルパッチョ、スペインオムレツ、きのこのアヒージョ、そして魚介のパエリア。どれも最高に美味しくて、お腹がいっぱいで幸せだ。

オリーブを摘まみながら、ちょっといいワインを飲む。久し振りのアルコールで、少し酔いが回っている。

「前田とは連絡先交換してないんですか?」

「前田君?あー前に飲みに行って、その時交換しました」

「そっか、、」

「前田君がどうかしましたか?」

「いや、先週の電話、他にあてがなくて俺にかかってきたのかなって思ってたけど、前田じゃなくて、俺にかけてくれてたんですね」

「はい。自分でも、あの時どうして高城君に電話したのか、よくわかんないんですけど。高城君は、ほら、高宮君の時も、ヒーローみたいに颯爽と現れて助けてくれたし?高城君は私の中で、優しくて、頼れる、ヒーローみたいな存在になってたのかも、、」

「あーあの時、、実は高宮さんが休憩所で石川さんのこと話してるの聞いちゃって。誘えばすぐにやらせてくれるとかなんとか、、これはやばいと思って。どうしようか迷って、、結局石川さんのあとを追って見張ってたんです。気持ち悪いことして、本当すみません」

「なるほど、、だからあんないいタイミングで登場できたんですね?高城君、あの時ドラマかと思うほどかっこよかったです」

「え?ん?ありがとうございます?」

「今回も、いつもと違ってちょっと強引でかっこよかった。来てくれて凄く嬉しかったし。優しくしてくれたのも嬉しかった。そばにいて欲しくて、ずっと一緒にいて欲しくて、、」

「あれ?石川さん?なんか酔ってます?」

「高城君の布団はいい匂いで、まるで高城君に抱きしめられてるみたいで安心する。あと、高城君はかわいい。多分私、高城君のことが好きなんだと思う。違うかな?杏子、どう思う?」

おそらく私は本調子じゃなかった。そんな時にワインをぐいぐい飲んではいけない。
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