君は私のことをよくわかっているね
「明日、またこの時間にここで会えるだろうか?」

「はい、必ず」


 わたくしが返事をすれば、天龍様は微笑み、それから身を翻す。
 するとその瞬間、天龍様がいたところに、大きな白銀の龍が現れた。


「え⁉ もしかして……天龍様⁉」


 肯定の意だろうか? 龍はグルルと喉を鳴らし、わたくしにそっと頬ずりをする。それから、静かに天へと舞い上がった。

 それは、夜明けにはまだ早い時間。けれど、天龍様の周りに星の光がキラキラと集まり、空が白んだ。


(皇族に龍の血が流れているというのは本当だったのね)


 優雅に空を飛ぶその姿は神秘的で、あまりにも美しくて、なんだか涙が滲んでくる。まるで、人々の願いを叶える流れ星のよう――そんなことを思ってしまう。

 天龍様が見えなくなったあとも、まるで魔に魅入られたかのように、わたくしはずっと、その場に立ち尽くしていた。
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