君は私のことをよくわかっているね
「それで? 魅音様は他になんと仰っていたの?」

「はい……『たかが管理人ごときが陛下のご厚情を賜るなんて許しがたい。桜華様は一度、しっかりと序列というものを思い知るべきだ』とのお言葉で」

「序列、ね」


 確かに、しっかりと階級の定められた妃たちと違って、わたくしの立ち位置はなんとも不安定だ。なんといっても、龍晴様が勝手に作られた役職だし、妃と同じ女性なんだもの。

 これまで不満が噴出しなかったのは、わたくしがあくまで管理人の枠に収まっていたからだ。それが、陛下と朝食をともにしたことで、抑えきれないものになっている。


「お茶会を開くから、そこで話を聞きましょうか?」


 わたくしにとってはなんのメリットも存在しない――きっと嫌味のオンパレードで疲れるだけだ。けれど、早めに宥めておかなければ、後宮内の不穏に直結する。


「ありがとうございます。魅音様にはそのようにお伝えいたします」


 侍女が宮殿を去っていく。わたくしはそっと額を押さえた。



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