恋愛体質
「これあげるから。」

 その「Mr.のど飴」はさっきののど飴の残りを全部私の手の平にのせた。

 私はまたびっくりしてぼうっと相手の顔を見つめていた。

「あ、ありがとうございます。ゴホッ・・・」

「Mr.のど飴」は無理に話そうとするなと言うように手で制した。それからのど飴を私の手に握らせ軽く頷くと、またドアの方に向き直り離れていった。

 すぐに電車は駅に着いてドアが開き、乗客は一斉に駅になだれ出た。私もまだぼうっとした頭で「Mr.のど飴」の姿を目で追っていた。

 のど飴のPrinceを・・・
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