拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

 試験が終わり、結果を待つことになりました。セシリーと買い物へ行く為に王都へ行きました。雑貨屋さんを回ったりカフェへ行きお話をしているとあっという間に時間は過ぎます。

「美味しかったわ。試験が終わって息抜きになったわ」

 セシリーはケーキを三つも食べていました。私は最近食欲がなくお茶だけにしました。

「リュシエンヌったらどうしたの? 最近元気がないじゃない。何か悩み事?」

「……ううん。試験が終わってホッとしているだけよ。最終試験だったから頑張りすぎたのかもしれないわ」


「ハリス君とパティちゃんに良いところを見せようとして頑張りすぎたの?」

 ハリスもパティも上位グループの成績で姉として鼻が高いですわ。姉である私も頑張らなくてはと思い張り切っていたのも事実。

「……最近疲れが出てるのかしら、少し休んでも良い? 人混みに酔ったのかも、」

 頭がくらっとして、血の気が引いて意識が飛びそうに……


「リュシエンヌ!」

 セシリーが支えてくれて、倒れずにすみました。

「ちょっと、リュシエンヌ! 大丈夫?」

 私のメイドアデールも支えてくれました。

「うん、」

 大きく息を吸い呼吸を整える。


「リュシエンヌ、しっかりして!」
「馬車まで歩けますか? いいえ、従者を呼んで来ます! お待ちください」

 寝不足だわ、最近眠りが浅くて……はぁっと息をして意識を保つ。少し楽になってきたようですわ。

「? モルヴァン嬢ではないですか?」

 聞き覚えのある声が、まさか?

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