拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

 ようやく学園が始まる。学園自体は何が変わったというわけではなく、セキュリティーが強化された。生徒にもプライバシーがあるから学園内と言っても映像を映す装置を置けるわけではない。もちろん話には挙がったのだが、高価で王宮でも一部しか取り付けが出来ないような代物を学園に取り付ける訳にはいかない。


 裕福な貴族の家でも門の前に一台あるくらいだ。この映像装置は怪しいことはない! と証言する事が出来るので高価だが人気の代物だ。怪しい客が来たり怪しい取引をしていたら、その映像が証拠となる。

 校門には見るからに屈強な男が立ち、学園に生徒がいる間もパトロールを強化。扉はピッキング出来ないような仕掛けになり生徒に下校の際は私物を置いて行かないように徹底させた。芸術品はガラスの飾り棚を取り付け中に入れた。
 ガラスを破ると警報器が作動するし、廊下に飾ってある絵画(レプリカ)も手を掛け持ち上げた瞬間に警報器が鳴る仕組みだ。



「パッと見た目には分からないね」

 防犯アドバイザーに説明を受けていた。


「いろんな意見がありまして、見た目には盗難防止が付いているとは分かりませんが、ガラス棚は盗られないようにという意図が伝わると思います(防犯ブザーが見える)全てを警戒しているわけではない。と思わせる事により生徒達も安心して学園に通える事かと思います」


「なるほど。分かりました。図書館の方はどうなりましたか?」

 図書館の改修工事がもう時期始まる。工事責任者に尋ねる。

「貸し出しは今まで通りです。大事な書籍は王宮の図書館へ一時運ぶ事になりました。雨水でダメになっては困りますから」

 大事な資料が濡れては困るし、歴史的に重要な物もある。

「分かりました。引き続きお願いします」


 彼女は良く調べ物をしていたよな。これらを王宮の図書館に移して王宮図書館へ誘えば良い。国立図書館よりも品揃えは豊富だ。


「あ、貴重な書物は今日中に運んでもらえますか? 今日は天気が良いですから」

「そうですね。準備が出来たものから運び出します」
 
 ……よし。準備は整った!
 


 
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