没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
駒じゃない…か…。
駒のような気もするけど…。
けれど、これはわたしとしてはやらないわけにはいかないわとフィリシティは姿勢を正した。

「駒であったとしてもわたしはやりますわ。殿下」

「ほんとうか?」

レオンはぱっと顔を明るくした。

「だが駒ではないぞ。俺はフィリシティを‥‥大事に想っているからこそ・・いや…ただ一緒に仕事をだな…」

レオンはぶつぶつと言い訳をしていたけれど駒にはちがいない。
自分は駒として『コルタナの涙』について納得いくまで調査しよう。

ひたすら言い訳をするこの国の王太子を目の前に、フィリシティは決意を新たにしたのである。
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