没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
王太子という誰からも一線を引かれる身分のレオンにとって唯一心を許せる腹心の側近。それがこの『ローマン・デニーズ』だ。
小さいころから共に育ち、レオンの裏の顔も知っている男。

ローマンがいなかったら、自分が演じている王太子という役柄に嫌気がさして逃げていたかもしれない。

「調査は致しますが、本気ですか?」

その紫の瞳をじっとレオンに向ける。

「ああ。少なくとも興味がある。はじめてもう一度会いたいと思った女性だ」

崖の上で、俺に叫べといった彼女。

四角定規な王太子としての日々の行動に嫌気がさしていた。
本当の自分はもっといたずらも好きで、お忍びもするし、ひとりで夜に街にも出るし、危ないこともしてきた。
けれど、王宮に入り、王太子としての仮面をかぶると自分はすべてにおいて完璧な王子を演じなければならない。
そしてそれは決まりきった道だ。
国を、民を守り、自分を押し殺し、後継ぎをつくり、そして死にゆく…。
国の王とはそういうものだ。

そんな人生に嫌気がさしていた中で、国の有力貴族の娘との結婚話がでた。
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