モブA子と王子様の友達


「あれ?この間の、、」

「一条くん?!」


びっくりした、まさか一条くんに会えるなんて。


2人で教室を目指して歩く。


思わずチラリと見てしまう。


スラッとした身体の上にある小さい顔、

落ち着いたブラウンのサラサラな髪、

猫みたいな瞳に長いまつ毛、

皮剥けや皺なんかが1つもないプルプルな唇。


いつ見ても綺麗な人。


夢みたい、一条くんと2人で歩いてるなんて。


「今から講義だよね?この道から行く人初めて会ったよ。」


「あ、あのえと、私背が低いから人混みだとぶつかっちゃったり転んじゃったりしちゃうんです。先週パンダくんに助けてもらって、」


「パンダ?」


あ、あ、どうしよう渾名で言っちゃった。


「えと、その笹木くんです。」


「笹木?随分と可愛い渾名だね?」


あああああどうしよう落ち着け私


「と、咄嗟に思いついて、、」


「あ、だからか。」


? なんだろう。


「先週の講義以降やたらとメッセージアプリでパンダのスタンプ送りまくってくるんだよね。」


「そうなんですか?」
 

「うん。後は勉強中にルーズリーフにパンダの落書きしてニヤニヤしてたり気持ち悪、、楽しそうにしてたよ。」


今気持ち悪いって言おうとした?


「これあいつには内緒ね」


「はい」


「あ、そこ道悪いから気をつけて。」


「わっ、ありがとうございます。」


笹木くんが話し上手で気遣い上手だからかなんとなく無口でクールな印象があったけど、一条くんって紳士なんだな。


足元を見て気づいたけれどモデル体型で足の長い一条くんとチビな私が同じペースで歩くことがまず普通に歩いたらできないことに気づく。


さりげなく歩幅を調整してくれてるんですね。


くぅぅ〜かっこいい〜〜


あ、もしかして


「あの、一条くん」


「ん?なに?」


「もしかしていつもこの道で教室に向かってるんですか?」


「正解。人混み苦手なんだよね、あの時間の廊下って満員電車みたいでしょ?まぁ気を抜くと遅刻しかけるんだけど。」


だからいつも時間ギリギリに来てたんだ。


「それに歩くことに集中してたらなんか気が楽で。」


「そうなんですか。」


「うん。あ、敬語じゃなくていいよ。」


「努力します。」


「ふふ」


一条くんが笑った!


いやそりゃあ笑う時は笑うんだろうけどあまりにも綺麗で、言葉が出せない。


一条くんは腕時計を見ながら、


「今日は遅刻しないで着きそうだ、よかった。」


どんな姿でも映画みたいになるこの人はすごい。


以外と細身の腕時計を使ってるんだな、男子大学生ってみんなゴツゴツした腕時計してるんだと思ってました。


はっ!偏見思い込みはよくないですよ私!

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