ブラスバンド! 〜青春は吹奏楽部で〜

第4章 本格的な恋バナ

 美空ちゃんや愛依ちゃんとちょっとした恋バナ(?)をした次の日。今日は水曜日で部活がないので、私を含めたいつもの4人で遊ぶ約束をしている。昨日のこともあってか、ちょっと足取りが重い。実際昨日は、家に帰ってからも陸斗先輩のことを考えていた。あ、もちろん「好きな人」としてではなくて、「憧れの人」として考えてただけ。私は正直に言って陸斗先輩のことを1パーセントも好きとは思わない。これ以上変なウワサを立てられてたまるか!
 でも……この「憧れ」はいつか「好き」になるのだろうか……やっぱり陸斗先輩のことは尊敬しているし……
 尊敬と言えば、小学校の頃は弘樹先輩を尊敬してたっけ……
 私の思考は既にグチャグチャだ。目をつむって心を落ち着かせようと脳内を整理する。ちょっとずつ落ち着いてきて、「ふぅ」とため息をついたとき。
「あれ、優夢じゃん? めちゃくちゃ深いため息なんてついてどうしたん? ……あ、もしかして『恋煩い』? やっぱり恋って大変なんだね〜」
 こんな時に限って美空ちゃんが来ちゃうんだから……
「だから違うって……」
 正直こういう相手をするのも無駄な気がする。だからといって全部無視するわけにもいかないし。こうなったら多分必死に説得するしかないだろう。
「でも優夢、最近食欲不振じゃない? 前は給食もめったに減らさなかったのに最近はよく減らすし……食欲不振は恋煩いの症状らしいよ〜?」
 美空ちゃんは折れることなく、ニヤニヤしながら私のことを疑う。だからそんなワケないって……優夢はもう一度大きなため息をつく。その時だった。
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