私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。



はっきりしない返事。

本当に小さく沸いた不安に後ろを見れば,響くんは難しい顔をしている。



「半分正解で半分ふせーかい」

「え?」

「1人で,それも丸腰で傷付くことなんてない。とーかちゃんが泣くくらいなら,俺に黙っていくなんてだめ」



だってそれは



「私の,事なので……それに約束もあったし,今日じゃなきゃだめだったんです」

「それでも,だめ」



乾き始めている頬の涙を,響くんが拭った。

顔がぐちゃぐちゃなのも,分かっているのに。

アングルがまるでキスされる前みたいで。

私はドキドキしながら視線を落とす。

そしてぽつりと囁くような小ささで,口を開いた。



「あの……ありがとうございます,響。私,響がいなかったら……本当に傷だけ作って,卒業まで一生引き摺って泣いていたかもしれません」
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