私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。

どうしよう,こんなことしてる場合じゃないのに。

佐久間くんが待ってる,もしかしたらもう探してるかもしれない。



「っもー! 近いです! 分かりました,分かりましたからっ! 離れてください!」



私の細い悲鳴を聞いて,響くんは力を緩める。

私はその腕に手を置いて,身体を前に倒した。

密着した身体は,相手の匂いすら届けてくる。

ごめんね佐久間くん。

説得が先みたい。

うぅ,と私は心で唸った。

目も口もぎゅっと閉じていると,響くんの動きが止まる。



「顔,赤いよ? とーかちゃん」

「っ~っっ」



つんと嬉しげに頬をつついた響くん。

急激に恥ずかしくなった私は,響くんを振り払って立ち上がり,勢い良く振り払った。

無防備に,何を考えているのか分からない瞳を向けてくる響くんが,くやしい。
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