ヒスイのさがしもの

かみさまのせかい




「わあぁぁぁぁぁあ!」

「仕方ないな……! (つか)まってろよ!」


 男の子の舌打ちの後、手のひらの感触が変わった。


「も、もふもふっ!?」


 (つむ)っていた目を開けると、私が必死に握りしめているのは大きな白い犬の背中の毛だった。

 状況がのみ込めなくて目が回りそうだ。男の子を掴んだはずなのに、犬にしがみついている。屋上から落ちたはずなのに、なかなか地面に当たらない。というかーー


「……ここ、どこ!?」


 橙と紫が(にじ)んだ水彩画のような空。不思議な浮遊感に包まれながら、でも確実に落ちているその先は、街のようだった。

 木造の小さな建物や井戸は、昔の街並みのようなイメージだ。かと思えば、ニュースで話題のシンボルタワーに似た現代的な建物も見える。なんだか、ちぐはぐだ。


 白い犬はゆっくりと地面に降り立つと、乱暴に私を振り落とした。


「あいたっ」


 受け身を失敗した、その拍子(ひょうし)にーーパキ、といやな音がした。(あわ)てて手のひらを開く。


「あぁぁぁ!」


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