宛先不明の伝書鳩

宛先不明の伝書鳩


夜が開ける前に、窓がこんこんと鳴る。
リリーは眠気眼のまま、布団から起きだし窓を開けると鳩がいた。白くて小さなかわいらしい鳩だ。首にワイヤーで繋がれたちいさなメモが挟んである。それを受け取ると、彼女は溜息をついた。書かれた字は『ちゃんと貴方と会って話したい』と殴り書きのような文字で書いてあった。差出人不明のラブレターはこの一か月ほどずっと続いている。しかもこんな夜更けに、だ。

まただ。またこの鳩は届ける相手を間違っている。

リリーは目を擦りながら、相変わらず首を傾げている鳩を見た。なんてことない悪げもなさそうになんにも考えていなさそうな目をこちらに向けている。

ラブレターは私宛ではない。
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