素直になりなよ。
「あのっ!やっぱり移動するので大丈夫です!お邪魔しましたっ!」
慌ててベッドから出ようとしたけど、松田さんはまた頭痛に襲われたようで、体を一時停止させた。
――かなり辛そうだな。
揶揄ったことを少し反省しながら声を掛けた。
「ほら、動いたらまた酷くなるよ?痛み止めの薬、飲んだの?」
「飲んだけど、今日はなかなか効かなくて…」
「じゃあ安静にしとくしかないじゃん。」
そう言って、俺は起き上がり、ベッドの端に座っている松田さんの体の下に、腕を差し込んだ。
「えっ!?ちょ、なに…!?」
「ほら、横になれって。」
軽くお姫様抱っこ状態にした後、ベッドにゆっくり松田さんを下ろした。
俺の腕の中で、一瞬小さくなる松田さんが、可愛く思えた。
抱きかかえた時に、あの香りが漂ってきて、なんだかホッとした気分にもなる。
松田さんが横になっている隣に俺も横になって、一緒の布団に入った。
「これでよし。あとは…」
そう言うと、松田さんの方に体を向けて手を伸ばし、そのままゆっくりと頭を撫でてみた。