身代わり婚約者との愛され結婚
 本当にベネディクトが来るか若干不安だが、やはりどう考えても現状彼が結婚相手として最善だとするならば婚約破棄なんてする訳にはいかない。

 少し罪悪感はあるが、ここは両親を言いくるめて納得して貰うしかないと必死に言葉を重ねる。

「会えないのはお仕事とのことですし、それはつまりそれだけちゃんと役割に向き合えるということですわ」
「そうかなぁ」
「そ、それに! 今晩会うのにわざわざ朝一に花束を届けてくださったんですよ」

“届けてくれたのも選んでくれたのもレヴィン様ですが!”

「おぉ、そうなのか? ちゃんと想われてはいるのかな」
「えぇ、もちろんですわ」

“多分私の肩書きを想ってはいるはずですし、嘘ではありませんよね”

 内心自分でツッコミつつ、それはまぁお互い様なので仕方ない。

「まぁ、ティナが言うのなら私たちは信じよう」
「えぇ、仕方ないわね。けど忘れないで? 私たちは貴女にもちゃんと恋して欲しいと思ってるから」
「はい、ありがとうございます」

 
“恋……”

 母の言うその単語を心の中で反芻する。
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