身代わり婚約者との愛され結婚
 あ、と思った時にはもうしっかりと腕を掴まれ逃げ出すことは叶わなかった。


「……ベネディクト様」
「ハッ、相変わらずその気が強そうな顔が苛立つな」

 いきなり現れたベネディクトは、私の腕をキリキリと掴んだまままるで小馬鹿にしたように鼻で笑い、そしてすぐにその顔を歪ませた。
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