身代わり婚約者との愛され結婚
 私を左手で抱きしめたままサイドテーブルに右手を伸ばしたレヴィンが、そのまま器用に水をグラスに注ぎ手渡してくれた。


 喉が渇いていたのは本当なので、そのままありがたく受け取りコクリと口にする。

 ミントが入っていたのか、少しぬるくはなっていたが十分爽やかで美味しく、私は一気に飲み干した。


「あれ、全部飲んじゃったんですか?」
「! レヴィンも飲みたかった!?」

 レヴィンの言葉に驚き慌ててそう聞きながら振り向くと、少し意地悪そうな笑顔と目が合いビクリと肩が跳ねる。


「そうですね、飲みたかったです」
「な、ならもう一杯入れればいいわ? あ、私が入れましょうか」

 飲みたかった、なんて言いながら私の手からグラスを取り上げたレヴィンがさっとサイドテーブルに置く。

「の、飲むのよね?」
「えぇ、味見だけ」
「味見……っ、んん!」

 そのまま右手で私の顎を上げたレヴィンに口付けられると、すぐにくちゅりと口内にレヴィンの舌が入ってきた。


“味見ってこういう……!”


「ミントが爽やかですね?」
「レヴィンはねちっこかっ……、ひゃん!」
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