アンハッピー・ウエディング〜前編〜
そうして、それから何日かが過ぎ。

いよいよ、遠足は明日に迫っていた。






「…よし、こんなものかな…」

前日のお弁当準備、完了。

これだけ下拵えを済ませて、あとは明日の朝、焼成して盛り付けるだけだな。

安請け合いしてしまったけど、四人分のお弁当作りってやっぱり大変だよ。

毎日、家族全員分のお弁当を作ってる主婦の皆さんって、本当に立派なだなぁ。

四人前ともなると、昨夜の残り物を入れてとか出来ないもんな。

そんなに残らないもん。四人分も。

しかも、四人のうち一人は、キャラ弁だからな。

俺もキャラ弁作るの初めてだし…。果たして上手く行くかどうか。

上手く行ったとして、それを豪華客船のデッキで食べるんだもんな。

やっぱり恥ずかしいからやめてくれ、と言いたかったが。

寿々花さん、もうランチの予約を断っちゃったらしいし。

こうなったら、覚悟を決めて弁当を作るしかなかった。

はー。

「やれやれ…っと」

弁当の準備が出来たら、他の荷物の準備もしないとな。

大した荷物はないけど、ビニールシートとか水筒とか、持っていくものはある。

リュックサックにでも入れていくかな。

と、思って、俺は押し入れからリュックサックを出し、中身を詰めていた。

すると、そこに。

「悠理君、明日の支度出来た?」

「うわっ、びっくりした」

突然、ノックもせずに寿々花さんが俺の部屋に入ってきた。
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