「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 慈善病院までは、ときどきだけど徒歩で通っている。

 運動不足がちだから、ときどきでも歩いて自己満足しているわけ

 歩いて屋敷に戻ると、エントランスでフェリクスとモルガンが話をしているのに気がついた。

(なにも立ち話をしなくても……)

 そんないらないお世話的なことを考えつつ、笑顔で挨拶をした。

「アイ様、おかえりなさいませ」

 モルガンはそう言ってくれたけれど、フェリクスは当然無視した。

 帳面に目を落としたまま、それをこちらに向けることすらしない。
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