「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~

わたしは、空気

 フェリクスが屋敷に帰ってきたからといって、とくになにかかわったことはない。

 彼は、まるでいまもまだ駐屯地にいるかのように存在感がない。そして、わたしはわたしで慈善病院に行ったり領地の様子を見に行ったり、さらには様々な会合やお喋りをしてすごしている。

 つまりラングラン侯爵家のみならず、この領地はいつもとかわらぬ日々をすごしている。

 屋敷内でフェリクスと顔を合わせることはある。が、彼はあいかわらずわたしを無視している。というか、わたしはまるで彼の目の前に存在していないかのように振る舞っている。
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