「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~

目撃してしまう

「アイ、お願いです。現地は、かなり深刻な状態なのです。老若男女、多くの人たちが苦しんでいます。もちろん、あなただけに負担をかけたり重荷を背負わしたりはしません。一刻もはやく王都からの応援がくるよう、わたしたちも手を尽くします。アイ。人々は、癒しと加護の力を使うことの出来るレディがやって来たというわけで希望を持つことが出来ます。希望は、人々に生きる力を与えます。それだけでも充分な効果をもたらすことが出来ます」

 ジョフロワはテーブルの向こうから身を乗りだし、わたしの手を握った。

「当然、あなたの身の安全は保障します。わたしがあなたの側にいて、守ります。アイ、病に苦しむ人に国や人種の違いはありません。どうかいっしょに行って下さい」
「ジョフロワ、落ち着いて下さい。このことは、わたしだけの問題ではないのです」

 あまりにも強引すぎる。
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