「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 どうしてこんなにハッキリと覚えているかというと、口頭で告げられたわけではなく文章で告げられたからである。

 それをただ読み返しただけのこと。

 嫁いだフェリクス・ラングラン侯爵は、ジラルデ帝国軍の駐屯地から手紙を送ってきた。その内容がそうだったわけ。

 追伸には、「返信不要。きみの考えや答えには興味がない」と、ご丁寧に記されていた。

 顔を知らない旦那様。

 亡くなった両親が彼の両親を助けたかなにかで約束された結婚。

 いいえ。束縛された人生、といった方がいいのかしら?

 彼には妻は必要ないらしい。息抜きをさせてくれるレディがいれば、それでこと足りるというわけ。というか、ちゃんと愛しているレディがいるのである。遊びと真剣なお付き合い。彼にはそのどちらの相手も揃っている。

 とにかく、わたしたちのかわった夫婦の形。

 いいじゃない。とってもいいわ。

 わたし好み。これって幸運以外のなにものでもない。

 というわけで、わたしは好き勝手にすごすことを決意した。
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