「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「いや、待てよ。二人とも、いまはそこじゃない。というか、そもそも話が嚙み合わなさすぎてやしないか?」

 わたしがアムラン王国の血税の使われ方について心の中で賛否を問うていると、エルキュールが冷ややかな調子で割って入ってきた。

「エルキュール、だまっていてくれ。とにかく、きみの望みをかなえたかった。どれだけ金貨を使おうともね」
「使ってくれるのはうれしいわ。だって、あなたたちのお蔭で、慈善病院の運営がよくなりつつあるんだし」
「そうだろう? この調子で、わたしはきみの夢や希望をかなえるつもりだ。そして、どこの国のどんなレディよりしあわせにする。絶対にね。いまここで約束する。いいや。きみだけでなく、ありとあらゆる神に誓う。女神のような妻を蔑ろにする夫とは名ばかりの浮気性の男より、ずっとずっとしあわせにする」

 ジョフロワは、子どもみたいに両腕をブンブン振りまわしながら叫んだ。
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