「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「ピエールの言う通りです。『そんなに気になるのなら、将軍職を辞して帰郷し、アイ様にほんとうのことを話していっしょにすごせばいいのです』と、ピエールと何度も勧めたのです。しかし、閣下は頑なに拒否されました。アイ様。閣下は、あなたが『ラングラン侯爵領の屋敷や領地をうまくまとめることが出来るようになるまでは、生きていなければな』とがんばっていたのです。閣下は、王族の命を救った英雄です。もしも将軍のままで死ねば、ラングラン侯爵家は永久的にその爵位や領地を保障されます。あなたに当主の座を譲っておきさえすれば、もしも後日あなたが再婚することになってもラングラン侯爵家でなんの不自由もなくすごせる。閣下は、そこまで考えていたのです」

 ピエールもパトリスも、フェリクスに止められてはいけないからとすごく早口で説明してくれた。
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