「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「おれは……」
「癒しのあと、ぐっすりお休みなられたのです。気分はいかがですか?」

 上半身を起こそうとする彼を止めようと思ったけれど、すっかり癒えているかどうか確認したい。だから、彼の背中に手をあて、上半身を起こすのを手伝った。

「痛みが、痛みがまったくない。眠りすぎてボーッとしているが、気分じたいは悪くない」
「よかったですわ。もう大丈夫ですよ。痛みも死の影も消え去りました」
「すまなかった」

 彼は、わたしとしっかり視線を合わせてから頭を下げた。
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