「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 モルガンに頼み、まだ見ぬ夫の帰宅を周知してもらった。

 すると、ラングラン侯爵家が全体的に緊張に包まれた。

 ピリピリ、というわけではない。だけど、暗いというか不安気というか、そういう雰囲気になっている。

「会ったことがないのです。ですから、わかりません。管理人のマルスランさんから、旦那様の小さい頃の話はきいていますが。ですが、そんな小さいときのことなんて参考になりませんよね。いまはすっかりかわってしまっているでしょうから」

 メイドのロマーヌ・ピエルネが言った。
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