「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「なんですって? そんなのおかしいです」
「そうですよ。いくら親どうしが決めたことでも、アイ様のことをなにも知らない内から気に入らないとか、妻は必要ないとか、そういうのはただのワガママです。思いやりがなさすぎます」

 せっかくの言い訳は、ロマーヌとヴェロニクの怒りを増しただけだった。

「アイ様は、ずっとこのラングラン侯爵家を支えてらっしゃるんですよ。そういうことも知らないのに違いないわ。あー、もうっ! 考えただけで腹が立つ。わたし、旦那様に直談判してきます」
「ロマーヌ、待ちなさい」
「止めないでよ、ヴェロニク」

 扉のノブに手をかけたロマーヌをヴェロニクが止めた。
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