Never Too Late 〜25年後の初戀〜
初戀物語
中学時代の私は、地元ではちやほやされて、いい気になっていた。

青春を謳歌するよりも、とにかく大きな夢を見る日々。

夢のためならば、戀なんか平気で捨てられる…そんな、野心に満ちた残酷な少女。

中2の晩夏に地元を離れるまでの1年弱、とても淡い交際をしていた同級生は、有り体に言うと、園芸部のおとなしい少年だった。

「誰に告白されても、夢の為に全部断ってることなら知ってる。だから、無理に付き合ってくれとは言わない。ただ、俺は佐藤さんの夢を応援したいんだ」

見返りを求めない告白をされたのなんて、初めてだった。

少年特有の身勝手さもなく、ただ純粋に想ってくれているのが伝わってきて、私はそんな彼…吉岡くんに惹かれていった。

もし、私が傲慢で貪欲になったりせず、そのまま彼と付き合い続けて、堅実な人生を選んでいたら、今ごろ、こんな惨めな思いはしていなかったと思う。

そんな事を言っても、今更遅いが。
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