黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「男性恐怖症…。そして年齢が違う?」

確かに聖女の間から出て神殿長達がいた時、ミオ様は私の後ろに隠れた。
それにミオ様がこの国に降りて来られた時は大人びた綺麗な方だと思った。
だが今はソフィーに近い年齢にも見える。
まるで若返ったかのように…。
しかし私達はミオ様にとっては子供に見える年齢だということか。

「ウィリアム、あなたは照れた顔が可愛い人見知り王子様だと思われているわよ。大丈夫なの?」

「は?」

ミオ様に見惚れていた時に顔が赤くなっていたからか…。

「私との約束を覚えているわね、ウィリアム」

「ええ、もちろんですよ。その為に公務も行っています」

「期限は半年よ」

「……私の聖女様を、ミオ様を必ず射止めてみせます。逃がすつもりも、ましてや他の男に奪われるなんて失態はしませんよ。計画を練り直します」

私はソファーから立ち上がり、ミオ様が眠っていた寝台の前まで進む。
ステンドグラスからの優しい光が当たる寝台には薄いピンク色の花びらだけが残っている。

そう。
聖女様は目覚められたのだ。

眠り続けていた聖女様に恋をして10年。

目覚めた聖女様に声を掛ける時は緊張して声が震えた。
知りたいと思っていた名前を知ることができ、瞳の色は髪色と同じで美しい黒だった。
聞いてみたいと思っていた声は、私の耳に、胸に、鈴が鳴るように響く少し高めの声で。
抱きしめた身体は小さく、とても女性らしく柔らかで、私は目眩がしそうだった。

想像していたよりも何倍も甘いあなたの香り。
触れてみたいと願った黒髪は細くて絹のようで。

自分の過去を知り涙を流し、この国へ来たことを受け入れてくれた。
眠っていただけでは分からなかったミオ様のことが、この短時間で知ることができ、くるくると変わる表情がとても可愛いらしかった。

目を覚ましたあなたの笑顔に、私はまた恋をした。

胸が痛く苦しい程に甘く高鳴る。
私の心をこんなに熱くさせるのは、ただひとりだけ。

「必ず…!」

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