14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
十、彼に相応しい彼女



 月曜日。

 朝食は大和さんのリクエストのおにぎりとお味噌汁を作り、ダイニングテーブルで向かい合って食べている。

「おいしいよ。ありがとう」

 彼は三つ目を豪快に口に入れている。

「ふふっ、出勤前にこんな風に食べられるのって幸せを感じます」

「俺もだ。今夜は遅くなるから夕食は要らないから。連絡するけれど、遅いようだったら先に寝てて」

「はい。ちゃんと夕食食べてね。ごちそうさまでした」

 両手を合わせて食べ終わった大和さんの食器と重ねてから、シンクに運び手洗いを済ませて出社の準備をする。
 大和さんもスーツの上着を羽織り、ビジネスバッグを持つ手にトレンチコートをかけている。
 エレベーターに乗って一階と駐車場のあるB1を押す。

「なんで一階を押すんだ?」

「え? 私は電車で行きます」

「同じところへ行くんだから乗っていけばいい」

「え? でも……」

 腕時計へ視線を落とすと、八時十分を回ったところだ。
 一階に到着して扉が開くが、大和さんが閉のボタンを押して閉める。

「ちゃんと時間までには着くから」

 婚約していることはまだ誰にも知られていないから、誰かに目撃されたら……と考えると困惑しているうちにB1に到着する。

「ほら行くぞ」

 手を引かれてダークグリーンの美しい車に歩を進めた。

「おはようございます。愛華さん、早いね」

 総務課へ入ると、いつもの出勤時間なのに愛華さんが出勤していた。
< 166 / 208 >

この作品をシェア

pagetop