14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「これで落ち着けます」

 それは本当の気持ちなのだろうか? でも、なんでそんな風に考えてしまうの?

 大和さんといると、自分のペースが乱される。

 おなかを満たしてレストランをあとにし、大和さんは腕時計へ目を落とす。

「三時半か。しばらく腹も空かないだろうし、もう一度遊園地に戻るか」

「戻る……?」

 キョトンと首を傾げて大和さんを仰ぎ見た先に、いたずらっ子のような笑顔の彼がいた。

「まだ乗り足りなくないか?」

「ふふっ、子供みたいですね」

「かもしれない。ここにずっと来たかったんだ」

「思い入れのある遊園地なんですね。いいですよ。気の済むまで付き合います」

 私たちは再び遊園地へ入園し、まだ乗っていない乗り物であたりが暗くなるまで遊んだ。



 二十時過ぎ、自宅に戻ったところだ。

 玄関のドアを閉めて、心地よい疲れを感じながらベッドにポスンと腰を下ろす。

 そこで、自分が油っぽい匂いになっていることに気づく。 

 夕食は焼き肉を食べたのでそのせいだ。

 すっかりご馳走になってしまった。でも、アルバイト代みたいなものよね?

 何度もお礼を言わなくていいと言われたが、やはり気が済まないので別れ際にも伝えた。

 彼は「楽しかったよ。紬希は?」と尋ねた。

 私の返事も「楽しかった」だった。それは嘘ではなく本心から。

 大和さんはまた連絡すると言って、車で去って行った。

「さてと、お風呂入ろう」

 ベッドから腰を上げて伸びを一回してから、バスタブの湯張りをしに向かった。
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