ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 署の隣にあるコンビニの前を通りかかると、後輩の本城昇太が買い物をして出て来たところだった。サンドウイッチだろう。
 本城は私に気づいて走り寄った。

「おはようございます。出頭命令ですか? 例の」

 本城の言う『例の』とは、もちろんパパ活チンパンジーの事だ。本城が知り得た話を聞くと、同じ署内でも交友関係の違いから微妙に異なる話が伝播していて面白いなと思った。

 ――私がチンパンジーをグーパンして鼻血ブー、か。

 一昨日の夜に葉梨と電話したのだが、葉梨も噂話を聞いているものの自分の知り得た話と岡島の話が違う為、私に聞いてきた。葉梨はこう言っていた。

『パパ活している野川を叱責した加藤さんが野川からグーパンされて鼻血が噴き出したと聞きましたが本当ですか』

 私が鼻血ブーなのかと思ったが、パパ活と鼻血ブーは正しく伝わっているのだなと関心した。

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