【SS集】きゅん、集めました


「ナンパしてきたわりに、けっこうウブ?」


「な…っ」




 手でふれなくても感じるほどに、ほおが熱い。

 カウンターにほおづえを突いて見上げてくるお兄さんは、ほほえみながら、挑発的に私を見つめた。




「お客さん、よくうちに来るし、俺にとってはなかなか好印象。ここ、取り置きしとく?」




 トントンと、人差し指で自身の唇をたたく。

 今となっては、ナンパしているのはどちらなのか。

 いっそ夢でも見てるんじゃないかと思いながら、私は「…いったん、保留で」と声をしぼり出した。


 ふはっと吹き出す声が耳をゾクリとふるわせて、私を沼に引きずりこんでいく。

 …こんな本性、反則でしょ。




fin.

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