終焉告げる金色の蝶と死想の少女
 月伽は深い微睡みの中にいた。電車の揺れは心地よく揺り籠のようだ。そして、それは夢幻へと誘(いざな)う。


 幾度ともなく訪れる人の死。

 その度参加する葬式という名の儀式。


 夜の海に彩られたそれは、どんな美しい宝石よりも絶対なる美と価値があった。人の嘆きは幻想的な民族音楽のようで、どれもが月伽にとっては魅惑的だった。


「この度はお悔やみ申し上げます」


 この言葉すら最高のスパイスだと想う自分は、なんと罪深いことか。


 わざと、昏い表情をつくって、悲しんでいるふりをする。それらしく振る舞えば同情し、何かあれば力になると言う。


「ありがとうございます」


 日常は、いつも真実と嘘を織り交ぜる。




 まるでそれは、都市伝説を紡ぎだすかのように。


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