王家の影はポンコツ令嬢!はじめての任務で×××
「⋯気、抜いたらだめだよ?」

突如ヴゥンと振動をはじめた魔道具に体をびくりと跳ねさせた。


“⋯くっ、しかしこれはいわば試練⋯っ!”

私とお揃いの刺繍が入ったウエストコートに身を包み、私をエスコートすべくダフネ家まで迎えにきてくださったディーデリック様は、よりにもよってこんな日に執務室で挿れられた魔道具をにこにこと私の前に掲げて見せたのだ。


『こういう時こそ心と体を鍛えて快楽への耐性をつけなくちゃだよね?』

と優雅に微笑んだディーデリック様は、私の下腹部に再び顔を埋めた後にぷちゅりと魔道具を装着して――



“さぁ、行こうか、ではないんですのよぉ⋯っ!!”

内心全力で抗議するが、しかしこれも彼の妻になるためには必要な事なのだろう。


「⋯私、絶対絶対負けませんわぁぁ!!」
「あ、お気になさらず。ディーデリック・ローランドとその婚約者のクリスティナ・ダフネです」
「⋯あ、か、畏まりました、ディーデリック・ローランド様とそのご婚約者、クリスティナ・ダフネ様ご入場です!」

名前を伝えるとすぐに入場の掛け声がなされ、扉が大きく開かれる。
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